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2011年2月 6日 (日)

『ある男の身許調査』~抜粋

私がはじめて原尞に会ったとき、彼は荻窪駅近くの客のいない薄暗いライヴ・ハウスで、調律の怪しいピアノを面白くもなさそうに弾いていた。ジャズの門外漢の私にも、音の数がまばらで不協和音が多く、指の動きのぎこちない彼の演奏が、おそらく我流のピアノ奏法であるぐらいのことはわかった。(1)

「この男の過去をできるだけ詳細に調べてもらいたい」その前日の月曜日の朝、私の事務所を訪れた高齢の依頼人は命令するような口調で言った。(略)「あの男についのて調査結果を聞こう」と、彼は言った。(略)「昭和21年12月18日、佐賀県鳥栖市生まれ。私より一才年下だな」(2)

依頼人が去って一時間もたたないうちに、事務所のドアをノックする者があった。「どうぞ」と応えると、ドアが開いて見憶えのある黒のコーデュロイの上下を着た男が静かに入ってきた。原尞だった。「おれのことは、なにもかも調べあげたようだな」と、彼はまず最初に言った。(3)

「しかも、それを飯のタネにした?」と、彼は言った。(略)「今度はおれがそうする番だ」私がその言葉の意味を理解できたのは、彼との断続的な付き合いが始まり、それから二年半後に彼が最初の小説『そして夜は甦る』を郵送してくれたときだった。(4)

原尞『ある男の身許調査』。初出『オール讀物』1990年3月号。→『私が殺した少女』(ハヤカワ文庫)に改訂収録。1996年4月15日。→『ミステリオーソ』(ハヤカワ文庫)2005年4月30日。(5) 

※以上「ツイッター」のまとめコピペ。

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