坂本龍一「三題」~「フォース」「阿部薫」「富樫雅彦」
1、「音楽に於ける『フォース』とは」~坂本龍一「ツイッター」より抜粋編集
そうですねえ。
ぼくがフォースと言っているのは、
時間の線上で音楽を前進させる、
どんな説明もつかない力なんです。
普通は形式とか機能和声がその力なんです。
形式とか機能和声というのは説明がつくんです。
一つの曲の中でも説明のつかない場所がある場合があるんです。
フリージャズなどはその力だけで前に行こうとしたものでしょう。
逆にpopsやrockは図式化されていることが多いので、
フォースが出てくる瞬間が少ないのです。
ぼくが近いなと思うのは、初期のクリーム、ジミヘン、
一番いい時のトーキングヘッズなどでしょうか。
もちろんJazzにはもっと多くあります。
ただJazzにはRockより理論家しよう、図式化しようという欲望も強いので、
正反対の欲望が同居しているとも言えます。
例のバークレーシステムなんてものは、
そのフォースなしで音楽を動かすための優れたメソッドな訳で、
全く保守的なものです。
というわけで、自分でもここまで書いてきて、
「フォース」とは
通常「霊感」と言われているものに近いのかなと思いました。
坂本龍一『ツイッター』
http://私的ヒットワード
「音楽を前進させる・力」
「説明のつかない場所(がある場合)」
「フリージャズ」
「初期のクリーム、ジミヘン」
「正反対の欲望(が同居)」
「バークレーシステム」
2、坂本龍一と阿部薫
『EV.Cafe~超進化論』村上龍+坂本龍一(1985年・初版。初出・1984年)
(坂本)
僕はポップスのアレンジャーもやったし、スタジオでピアノも弾いたし、
それからフリー・ジャズなんかを阿部薫たちとやったりとか、いろんなことやってきた。
自分が一番テンションが高くなったのは阿部薫と一緒にやったときだったけど。
(村上)
それ、いつ頃なの?
(坂本)
75、6年じゃないかな。
僕がスタジオ・ミュージシャンとして一番忙しい頃に、
夜寝ないで阿部薫とセッションしたりしてたんだ。
阿部薫は、その2、3年後に死んだんだけど、
そのままいってたら、僕も一緒に死んでたかもしれない。
(村上)
俺も阿部薫、聴いたことあるよ、70年頃。
俺、そのころアルト・サックスやってたんだけど、あれ聴いてやめたよ。
この人は何かやっぱり死ぬんじゃないかって予感したね、聴いていて。
(坂本)
死ぬと儀式が完結するから、一番いいことなんだけどね。
※中略
(村上)
時代の流れっていうといやな言葉だけど、
そういうのがあったような気がするね。
肉体が信じられているような音楽がずっと主流を占めてたでしょう、コルトレーンとか。
(坂本)
ちょうど変わり目だものね、阿部薫が死んだの。
阿部薫が死んでジャズが終焉した。
※中略
(坂本)
偽物と言う点では、(日本の)ロックもジャズも同じだよ。
だからお互い生きながらえてる。
僕はロックも死んだと思ってるしね。
僕も、ロックという意識で音楽をつくっていないよ。
※以下略、、、。
「霊感」
3、坂本龍一と富樫雅彦
『トワイライト/富樫雅彦+高橋悠治』
1、半明(富樫)
2、禮魂(富樫)
3、黄昏(高橋) ※ホー・チ・ミンの詩による。
高橋悠治(p、syn)
坂本龍一(p、syn)
高橋ゆうじ(syn) ※高橋鮎生(AYUO)
豊住芳三郎(per)
富樫雅彦(per)
1976年6月9&10日・録音
(『デンオン・ジャズ~日本コロムビア』)
| 固定リンク
「『インエフの日常』2011年」カテゴリの記事
- 『まちぶせ』を巡って、、、(2011.11.19)
- 「LP」から「CD」へ~その「分岐点」(2011.11.09)
- 本日の「学習」~「バイエルン」(2011.11.07)
- 「西日本御無沙汰不義理解消(?)ツアー」へ☆(2011.10.09)
- 宮崎駿の「覚悟」(2011.08.21)
コメント