姜尚中『母(オモニ)』
先ほど一気に読了。
『母(オモニ)』への「鎮魂曲」
静かなる感動に包まれる。
落涙箇所多数。
この「自伝小説」は、ある意味で「『在日』の変奏曲」とでも言う一書である。
両書とも「父」「母」「おじさん」そして「叔父さん」の「死」が「歌」われているが、
こちらの方が、「小説」と言う形を取っているだけあって、もっと心の襞に柔らかく響き、真情溢れることも厭わない記述になっている。
そして、そこに「通奏低音」の如く流れているのは、(いわゆる「在日一世」)「親の世代」の生きてきた「歴史」と「悲哀」である。
しかし、今ではその「日本」「韓国」自体、そして「両国の関係」も変わって来ている、と言う「現実」も踏まえつつ。
だからと言って、まだまだ「東北アジア(共同の家)」の状況は険しいものがあるのだが、、、。
(お母さんが「晩年」に残したテープ。一部編集)
「テツオ、お前が出した新しい本――『在日』ていう本ね。オモニは字が読めんけん、義姉さんに少し読んでもらったと。
バカんごたるね、息子がオモニのことにも触れた本ばぜんぜん読めんで、、、。
(中略)
テツオ。オモニは幸せだったばい。
苦労もしたばってん、よか人たちに出会えて。
ばってん、(祭祀を昔風にやっていた時)オモニが気違いて人から言われとった時は、淋しかったねぇー。
でもオモニが、祖先ば大切にせんなら、誰がするかてぇ、そう思っていろいろ法事をやってきたと。
ばってん、もうそがんこつはこれからの時代はなくなっていくだろね。
オモニたちは、昔からの仕来たりば守ることで、何とか日本でも生きていけたと。
もうこれからは、ニホンも、チョーセンもなか時代になるど。
テツオ、お前はアボジやオモニが知らん世界ば教えてくれた。
ようわからんばってん、そういう世界があることがわかったし、それだけでも字ば読めんオモニにはうれしかったとよ。
テツオ、ありがと、ありがとねぇ――」
姜尚中。「日本名」永野鉄男。熊本市生まれ。
※読了延べ時間≒200分
「BGM」~バッハ『平均率~』4→1→2→3(トラック7)から算出。
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